【約32万円の損失】レーザーテックの空売りで失敗した理由――リベンジトレードと曖昧な損切りの危険性

2026年7月21日、レーザーテック〈6920〉を100株空売りした。

売り建て価格は4万1,700円前後。翌7月22日の寄り付きで逆指値が作動し、4万4,970円で買い戻した。売買差額ベースの損失は約32万7,000円。諸費用を含めた損失額は、おおむね約32万円だった。

保有期間は、わずか1営業日。

結果だけを見れば、空売りした翌朝に踏み上げられ、約32万円を失った取引である。

しかし、今回の失敗で本当に問題だったのは、レーザーテックの翌日の値動きを予想できなかったことではない。

空売りで利益を得たい、以前の損失を取り返したいという気持ちが先にあり、その後から売る理由を組み立ててしまったこと。そして、含み損になった後で損切りルールを変更したことだ。

この記事では、レーザーテックを空売りした理由、損切りに至るまでの経緯、判断のどこに問題があったのかを振り返る。

なお、この記事は特定銘柄の売買を推奨するものではなく、個人の取引記録である。

今回の取引概要

項目内容
銘柄レーザーテック〈6920〉
取引信用新規売り
株数100株
売り建て日2026年7月21日
売り建て価格4万1,700円前後
買い戻し日2026年7月22日
買い戻し価格4万4,970円
保有期間1営業日
確定損失約32万円
当初の損切り価格4万3,000円
変更後の逆指値約4万3,800円
当初の許容損失約20万円

空売りした理由は「半導体株の中での相対的な弱さ」

7月21日の東京市場では、半導体株全体が大きく上昇していた。

日経平均株価は前営業日比3.26%高の6万6,232円19銭で終了。キオクシアホールディングスは17.18%高、イビデンは11.03%高、ソシオネクストも9.11%高となり、半導体関連株を中心に強い買い戻しが入っていた。

私も当時、アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコ、キオクシア、イビデンなどの値動きを監視していた。

それらが大幅に上昇する一方、レーザーテックの戻りは鈍かった。

レーザーテックの7月21日の値動きは、始値4万1,900円、高値4万2,810円、安値4万50円、終値4万2,670円。前日比では1.86%高だった。上昇してはいるものの、日経平均や一部の半導体株と比較すれば、確かに相対的な弱さはあった。

この値動きを見て、私は次のように考えた。

「半導体株がこれだけ上がっているのに、レーザーテックはあまり上がっていない」

「日経平均の反発は長続きせず、翌日は再び下落するのではないか」

「地合いが強い日でも上昇が鈍いなら、地合いが悪化したときには大きく下がるのではないか」

下値の目標は4万円。うまく下落トレンドに乗れれば、4万円を割ってさらに下がる可能性もあると考えていた。

利益確定価格を具体的に決めるのではなく、下落トレンドが続く限り保有し、上昇に転じたと判断した段階で買い戻す計画だった。

理屈だけを並べると、それなりに筋が通っているように見える。

しかし、今になって振り返ると、私は「空売りすべき状況を見つけた」のではない。

「空売りで稼ぎたい」という気持ちに合う銘柄を探し、レーザーテックの相対的な弱さを売る理由として採用しただけだった。

「相対的に弱い」と「今すぐ空売りできる」は別だった

レーザーテックがほかの半導体株より弱かったという観察自体は、間違いではなかった。

問題は、相対的に弱いというだけで、即座に空売りのタイミングになると考えたことだ。

当時のレーザーテックは、7月15日に前日比10.18%高となった後、7月16日に6.68%安、7月17日に9.66%安と、非常に荒い値動きを続けていた。7月17日の安値は3万9,850円、7月21日の安値も4万50円だった。

つまり、私が空売りした価格は4万1,700円前後でありながら、最初の下値目標は4万円だった。

目標までの値幅は、1株当たり約1,700円。100株なら、想定利益は約17万円である。

一方、当初の損切り価格を4万3,000円とすると、1株当たりのリスクは約1,300円。100株で約13万円だった。

この時点でのリスクリワードは、概算で約1.3対1にすぎない。

さらに、含み損になってから損切り価格を約4万3,800円まで引き上げたため、リスクは約21万円に拡大した。4万円を最初の目標とするなら、想定利益約17万円に対して想定損失約21万円となり、リスクリワードは1対1を下回っている。

しかも、レーザーテックはすでに4万円付近まで急落した後だった。

自分が最初の利益目標としていた価格に、株価はすでに一度到達している。そこから少し戻したところを空売りして、もう一度4万円を割ることに賭けていたことになる。

今から見れば、下落の初動を捉えた取引ではない。

大きく下落した後の安値圏で、戻りの弱さを理由にさらに売った取引だった。

「弱い銘柄を売る」という方向性だけを意識し、どの価格から売るのか、どこまで下がる余地があるのかという点を十分に検討できていなかった。

オニールの空売りパターンにも、明確には当てはまっていなかった

私はウィリアム・オニールの空売り手法も参考にしていた。

しかし今回のエントリーは、オニールの典型的な空売りパターンに明確に当てはまっていたわけではない。

主要な移動平均線を割り込んだ後の戻り売りなのか、明確な天井形成後のブレイクダウンなのか、出来高を伴う支持線割れなのか。

そうした具体的なセットアップを定義できていなかった。

ファンダメンタルズや受注動向、決算、市場予想についても、深く確認していなかった。

見ていたのは主にチャートと、ほかの半導体株に対する相対的な弱さだった。

つまり、

「この条件を満たしたから空売りする」

ではなく、

「レーザーテックが弱そうだから、とりあえず売ってみる」

に近い取引だった。

空売りは、株価が下がれば利益になる。

それだけに、相場全体や個別銘柄に弱気な見方を持っていると、売る理由はいくらでも見つけられる。

信用倍率が悪い。チャートが崩れている。リーダー銘柄のキオクシアが値崩れした。半導体相場は天井を打ったように見える。

これらの観察が完全に間違っているとは限らない。

しかし、将来的に下がる可能性があることと、今この価格で空売りすることは別問題である。

私はその二つを混同していた。

含み損になってから損切りルールを変更した

エントリー時点では、4万3,000円を損切りラインとして考えていた。

売り建て価格が4万1,700円前後なので、4万3,000円で買い戻せば、損失は100株で約13万円となる。

ところが、株価が上昇して含み損になると、私は損切り価格を変更した。

75日移動平均線の位置と、「最大5%程度までは許容してもよいのではないか」という考えから、逆指値を約4万3,800円まで引き上げた。

しかし、5%まで耐えるというルールは、エントリー前から決めていたものではない。

含み損になった後で考えたルールだった。

これは、損失許容額を相場に応じて合理的に調整したというより、4万3,000円で損切りしたくない気持ちを、75日線や5%という数字で正当化した面が大きい。

当初の許容損失は約20万円だった。

ところが、実際の損失は約32万円まで膨らんだ。

原因は損切りラインを広げたことだけではない。翌朝に株価が逆指値価格を大きく上回って始まったことも影響している。

逆指値は「その価格で損失を止める保証」ではない

7月21日の米国市場では、フィラデルフィア半導体株指数、いわゆるSOX指数が5.21%上昇した。米国の半導体株が大きく反発したことで、翌日の日本の半導体株にも強い買いが入る可能性が高まった。

7月22日のレーザーテックは、前日終値4万2,670円に対して4万4,770円で始まった。

前夜に設定していた約4万3,800円の逆指値を、寄り付きの時点ですでに大きく上回っていた。

その結果、買い戻し価格は4万4,970円となった。

逆指値注文は、指定した価格に到達したときに注文を市場へ発注する仕組みであり、必ずその価格で約定する注文ではない。市場の急変や窓を開けた寄り付きでは、想定より不利な価格で約定する可能性がある。証券会社も、逆指値には予期しない価格で約定するリスクがあると案内している。

今回の取引では、逆指値を約4万3,800円に置いたことで、最大損失を約21万円に抑えられるような感覚を持っていた。

しかし、実際には翌朝のギャップアップによって、約11万円多い損失になった。

値動きの激しい銘柄を翌日に持ち越す以上、逆指値を入れたとしても、設定した価格以上の損失が発生する可能性を考慮しなければならなかった。

特に空売りは、株価が上昇するほど損失が拡大する。東京証券取引所の信用取引資料でも、空売りは株価上昇によって損失が発生し、理論上の最大損失は限定されないと説明されている。

100株は最低単元であり、株数だけを見れば大きなポジションには見えない。

しかし、1株4万円を超えるレーザーテックを100株空売りすれば、建玉金額は約417万円になる。

100株だから小さいのではない。

値がさ株では、最低単元でも十分に重いポジションになる。

翌朝、ほぼ高値で損切りした

7月22日のレーザーテックは、4万4,770円で始まり、4万5,000円まで上昇した後、安値4万2,720円まで下落し、終値は4万2,990円だった。

私の買い戻し価格は4万4,970円なので、ほぼ当日の高値だった。

結果だけを切り取れば、最も苦しい位置で損切りしたことになる。

損切り後に株価が下がるのを見て、当然悔しかった。

「もう少し耐えていれば、損失を減らせたのではないか」

「また自分が損切りしたところが天井になった」

そう考えた。

私はそれ以前にも、損切りした直後に株価が反発する経験を何度かしていた。その記憶が、今回4万3,000円の損切りラインを守らず、約4万3,800円まで広げたことにも影響していた。

しかし、7月23日のレーザーテックは再び上昇した。

始値4万5,000円、高値4万6,790円、終値4万5,130円で、前日比4.98%高だった。仮に損切りせず保有していれば、含み損はさらに拡大していた可能性が高い。

7月24日には4万3,170円まで下落したものの、それでも私の売り建て価格である4万1,700円前後を上回っていた。

したがって、7月22日の買い戻し価格だけを見れば最悪に近かったが、空売りの前提が崩れたところで撤退した判断自体は間違いではなかったと思う。

私はレーザーテックの値動きに精神的にも金額的にも耐えられなかった。

耐えられないポジションは、持ち続けるべきではない。

本当の原因は「今年の損失を取り返したい」という心理だった

今回の取引で最も大きな問題は、テクニカル分析の細かな間違いではない。

リベンジトレードだったことだ。

私は2026年2月末までに、元本に対して約50%の確定利益を出していた。

しかし、その後の取引で利益を減らし、レーザーテックを空売りした時点では、年間損益がマイナスに転じていた。

大きく増やした利益を失い、元本割れしたことに強い焦りがあった。

エントリー時の心理を言葉にすると、次のようになる。

「何か取引したい」

「下落相場でも空売りなら利益を得られる」

「これまでの損失を取り返したい」

レーザーテックの空売りで利益を得たいという結論が先にあり、その結論を支える材料として、相対的な弱さ、半導体株の天井感、信用需給、キオクシアの値崩れなどを集めていた。

含み損になったときに考えていたことも、冷静なチャート分析ではなかった。

「どうして自分が取引すると、いつも逆に動くのか」

「また損失を重ねるのか」

「取り返すまでの距離が、さらに遠くなってしまう」

損失額ではなく、失った利益や過去の失敗と戦っていた。

市場は、私が以前いくら利益を出したかも、その利益を失って焦っていることも知らない。

今年の損益をプラスに戻したいという事情は、レーザーテックが下がる根拠にはならない。

それでも私は、取り返したい気持ちを売買判断に混ぜてしまった。

今回の失敗を五つに分解する

1.空売りをしたいという欲求が先にあった

最初に売りのセットアップを見つけたのではなく、空売りで稼ぎたいという気持ちがあり、その対象としてレーザーテックを選んだ。

取引の順番が逆だった。

本来は、条件が揃った結果として取引するべきであり、取引したいから条件を探してはいけない。

2.相対的な弱さだけでエントリーした

レーザーテックが半導体株の中で相対的に弱かったのは事実だった。

しかし、相対的な弱さは監視銘柄に入れる理由にはなっても、その場で空売りする十分条件ではない。

明確な戻り売りポイント、支持線割れ、出来高を伴った下落など、エントリーの引き金が不足していた。

3.下値余地が小さい位置で売った

売り建て価格は4万1,700円前後で、最初の目標は4万円だった。

期待できる利益は約17万円だった。

すでに株価は4万円付近まで下落しており、そこからさらに下がることに賭ける一方、上方向には大きな戻り余地があった。

下落トレンドを狙うにしても、位置が悪かった。

4.含み損になってから損切り幅を広げた

4万3,000円という当初の損切りラインを守らず、約4万3,800円に変更した。

75日線や5%という説明はつけられるが、実際には損切りを先延ばしにしたかった面が強い。

エントリー後に新しい情報が出たわけでもないのに、損失方向にだけルールを変更してしまった。

5.ギャップアップのリスクを軽視した

翌日の米国半導体株が強ければ、日本の半導体株が高く始まる可能性は十分にあった。

逆指値を入れたことで安心していたが、値がさの高ボラティリティ銘柄を持ち越す以上、設定価格を飛び越えて約定するリスクを考える必要があった。

損切りしたことだけは間違いではなかった

今回の取引に「悪くなかった点はない」と感じている。

確かに、エントリー、銘柄選定、損切りルールの変更、心理状態のいずれにも問題があった。

ただし、唯一救いがあるとすれば、前夜に入れた逆指値を解除せず、実際に損失を確定させたことだ。

買い戻し価格は悪かった。

しかし、寄り付き後に下落したことを理由に、損切りそのものが間違いだったとはいえない。

翌7月23日には4万6,790円まで上昇している。

「寄り天だったのだから、損切りしなければよかった」というのは、その日の値動きを見た後だから言えることである。

もし逆指値を解除して持ち続け、翌日にさらに上昇していたら、約32万円の損失では済まなかった可能性もある。

エントリーが間違っていたときに必要なのは、損切り位置を完璧に当てることではない。

これ以上、間違ったポジションに資金と精神力を拘束されないようにすることだ。

今後の空売りルール

今回と同じチャートが現れても、私は空売りしない。

相対的な弱さがあるというだけで、安値圏の銘柄を売ることは避ける。

今後、半導体株の空売りを検討する場合は、少なくとも次の条件を確認する。

第一に、空売りしたいという気持ちではなく、明確な下落セットアップが先に存在していること。

第二に、日経平均、SOX指数、半導体セクター、個別銘柄の方向が大きく矛盾していないこと。

第三に、急落後の安値圏ではなく、戻りが抵抗線で止められた場面や、支持線を明確に割った場面を検討すること。

第四に、損切り価格と利益目標をエントリー前に決め、少なくとも想定利益が想定損失を十分に上回ること。

第五に、エントリー後に損切り幅を広げないこと。

そして最も重要なのは、「取り返したい」という感情があるときには取引しないことだ。

損失を取り返すための取引は、今の相場で最も期待値の高い取引ではない。

過去の自分の損益を基準に、無理やり利益を作ろうとする取引である。

まとめ――空売りとリベンジトレードの組み合わせは危険だった

今回、私はレーザーテックを4万1,700円前後で100株空売りし、翌営業日に4万4,970円で買い戻した。

損失は約32万円。

表面的な理由は、半導体株全体が大幅に上昇する中で、レーザーテックの戻りが弱かったことだった。

しかし、本当の理由は別にあった。

空売りで利益を得たい。

今年の損失を取り返したい。

何か取引をして、資産を元の水準に戻したい。

その焦りが、相対的な弱さを過大評価させ、位置の悪い空売りを実行させた。

さらに、含み損になってから損切り幅を広げ、逆指値を入れたことで損失額を管理できていると思い込んだ。実際には翌朝のギャップアップによって、当初の想定を大きく超える損失になった。

空売りは、下落相場でも利益を得られる便利な手段に見える。

しかし、買いよりも簡単に稼げる方法ではない。

上昇相場への局所的な逆張り、高ボラティリティ銘柄、値がさ株、翌日への持ち越し、リベンジトレード。

今回は、危険な条件が重なっていた。

今回の約32万円は、単にレーザーテックの方向を外したために失ったお金ではない。

取引したい欲求を優先し、後から理由をつけ、含み損になってからルールを変更したことに対する授業料だった。

同じ授業料を二度払わないために、この取引を記録として残しておく。

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