はじめに
6月第1週の最終日、金曜日の東京株式市場は、ようやく一息つくような穏やかな上昇で幕を閉じました。
日経平均株価は前日比+187円12銭(+0.50%)の37,741円61銭と、3日ぶりに反発。週初からの下落基調に歯止めがかかり、市場には慎重ながらも「下げ止まり」を感じさせる空気が広がりました。
🟢 市場反発の背景:材料は“期待”、ただし確証はまだない
今週を通しての下げムードから一転、なぜこの日に限って買いが戻ってきたのか。その主な要因として挙げられるのは、以下の3点です。
■ ① 米中首脳による電話会談──「協議再開」への期待感
5日に行われたトランプ米大統領と習近平国家主席の電話会談で、両国は閣僚級の貿易協議を再開することで合意。これが報じられるやいなや、米国時間の先物市場ではダウ先物が上昇、日本市場もその流れを引き継ぐかたちでリスクオンの流れが生まれました。
ただし、「具体的な成果や合意内容」が発表されたわけではなく、あくまで“期待先行”である点は注意が必要です。市場もそれを理解しているようで、上値を追う勢いは限定的でした。
■ ② 円安進行──為替が株価を下支え
為替市場では、円相場が対ドルでじりじりと下落し、一時1ドル=144円台半ばまで円安が進行。これにより、輸出関連企業の採算改善期待が強まり、トヨタやソニー、村田製作所といった大手グローバル企業の株価が底堅く推移しました。
円安が進むことで、日経平均の構成銘柄に重きを置く輸出株全体が支えられるのはいつもの構図ですが、今回は米中材料と相まって、「売りすぎた分の買戻し」が強まった印象です。
■ ③ 金融・建設など内需系にも買い──「循環物色」の兆し
さらに本日は、銀行・証券株といった金融セクターにも反発の動きが見られました。TOPIX銀行業指数も反発し、ここ数日の調整で値を下げていたメガバンク株などに押し目買いが入った格好です。
建設やサービスなど、外部環境の影響を受けにくい内需セクターにも買いが散見され、市場全体に「循環物色」の兆しが広がり始めたように感じます。
📊 市場全体の印象:一服の動き、だが“本格的な上昇”には遠い
市場全体を見ると、今日の上昇は「売られ過ぎに対する反動」としての意味合いが強く、積極的なリスクテイクというよりは、「週末を前にポジションを軽く調整したい投資家による短期的な買い戻し」が中心だったように感じました。
また、東証プライム市場の売買代金はやや低調で、依然として本格的な上昇トレンドに転じるには材料不足。市場参加者の多くが「米国の雇用統計」や「来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)」を前に、ポジションを傾けることを避けた印象でした。
🧠 投資家としての所感と戦略メモ
今週を通じて相場は方向感を欠いていましたが、今日のような「限定的な上昇」こそ、次の局面への前触れである可能性も否定できません。とはいえ、
- 為替はまだ不安定
- 米国の景気指標次第では市場心理は急変する
- 米中協議は中身次第で逆風にもなり得る
といったリスクも頭に入れておく必要があります。
📝 今日のまとめ
- 日経平均は3日ぶりに反発(+187円)。
- 米中首脳の電話会談、円安進行を好感した買戻し。
- ただし、出来高はやや控えめで力強さには欠ける。
- 個人投資家としては“冷静な観察と柔軟な対応”が求められる場面。
来週以降、相場が上値を追うのか、それとも再び弱含むのか──その分岐点に差し掛かっている印象を受けます。今後も、冷静に市場の声を聞きながら、自分なりの判断を大切にしていきたいと思います。
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